画像生成AI「Midjourney」を使っていると、ふと生成されたビジュアルがどこかで見たことのある作品やキャラクター、あるいは実在の人物に酷似しているように感じることがあります。SNSやポートフォリオで公開するつもりだったのに、これでトラブルにならないだろうか、著作権侵害だと言われるのではないか、と不安になるのは自然な反応です。実際、2025年6月にはディズニーとユニバーサルがMidjourneyを著作権侵害で提訴するというニュースが話題になり、生成AIと著作権の関係はかつてないほど注目を集めています。
この記事では、Midjourneyが既存作品に似すぎてしまう原因や、公開前に確認すべき観点、類似を避けるためのプロンプトの考え方、そして使用を控えたほうがよいケースについて、公式情報や公開されている事例をもとに整理します。読者の皆さんが自分の使い方に合うかどうかを判断するための材料としてお役立てください。
Midjourneyで似すぎが起きる仕組みと原因
学習データの影響
Midjourneyは膨大な画像データを学習してモデルを構築しています。この学習データには、インターネット上で公開されている多種多様な画像が含まれており、有名なキャラクターや映画のワンシーン、アーティストの作品などもその中に存在している可能性があります。そのため、特定のキーワードや画風を指定すると、学習データに含まれる既存の著作物に近い出力が生成されることがあります。
プロンプトの具体性と類似リスク
プロンプトが具体的であればあるほど、イメージに近い結果は得やすくなりますが、同時に既存の作品に似るリスクも高まります。例えば、「青いドレスを着た金髪のプリンセス、ディズニー風」といった指示は、学習データに含まれる特定のキャラクターを強く連想させるため、出力が既存の著作物に酷似する可能性が高くなります。また、特定のアーティスト名をプロンプトに含めることも、その作風を模倣した結果を生みやすく、類似性の問題を引き起こしやすくなります。
バージョンによる違い
Midjourneyのバージョンアップに伴い、モデルの精度や表現力が向上する一方で、既存作品との類似性が指摘されるケースも報告されています。例えば、2023年末にαテストが開始されたV6では、生成された画像が複数の映画のシーンとほぼ一致するという指摘がユーザーから上がり、アカウント停止に至った事例もありました。このような事例からも、バージョンによっては意図せず既存作品に近い出力が得られるリスクがあることを認識しておく必要があります。
参照素材の扱いと注意点
画像プロンプトの使用
Midjourneyでは、テキストプロンプトに加えて画像を参照させることができる「画像プロンプト」機能があります。この機能を使うと、アップロードした画像の構図や色味、雰囲気をベースに新しい画像を生成できます。しかし、参照元の画像が著作権で保護されている場合、生成結果がその画像の二次的著作物とみなされる可能性があります。特に、他者が作成したイラストや写真を無断で使用することは避けるべきです。
自分で撮影した写真や権利処理済み素材の活用
参照素材として安全に使えるのは、自分で撮影した写真や、著作権フリーの素材、あるいは適切にライセンスを取得した画像です。それでも、生成結果が元の画像の特徴を強く残している場合は、公開前に類似性を慎重に確認する必要があります。
参照素材の影響度を調整する「–iw」パラメータ
Midjourneyでは、画像プロンプトの影響度を調整する「–iw」パラメータが用意されています。値を低く設定することで、参照画像への依存度を下げ、オリジナル性の高い出力を得やすくなります。類似性が気になる場合は、このパラメータを試してみるとよいでしょう。ただし、具体的な数値や推奨設定はバージョンによって異なるため、公式ドキュメントで最新情報を確認することをおすすめします。
公開前に確認したい類似性の観点
キャラクターやロゴの一致
生成された画像に、既存のキャラクターやブランドロゴと酷似した要素が含まれていないかを確認します。特に、ディズニーやマーベル、DCコミックスなどの有名キャラクターは、たとえ変形されていても著作権や商標権の侵害となる可能性が高いため、注意が必要です。
構図や配色の類似
キャラクターそのものではなくても、特定の映画のポスターや有名な絵画と構図や配色が酷似している場合も、著作権侵害とみなされるリスクがあります。全体的な印象が既存作品を想起させるかどうかを客観的に判断することが大切です。
実在の人物との類似
実在の有名人や一般人の顔に似ている場合、肖像権やパブリシティ権の問題が生じる可能性があります。特に、有名人を想起させるような特徴(髪型、服装、ポーズなど)が含まれている場合は、公開を控えるか、大幅に修正することを検討しましょう。
画像検索ツールを使った類似確認
Google画像検索やTinEyeなどの逆画像検索ツールを使って、生成した画像と類似する既存の画像がウェブ上に存在しないかを確認する方法もあります。完全に一致するものがなくても、類似性が高いと判断される可能性があるため、一つの目安として活用できます。
修正プロンプトの考え方と実践的なテクニック
抽象度を上げる
プロンプトの具体性が類似リスクを高める一因であるならば、あえて抽象的な表現に置き換えることで、オリジナル性の高い出力を促せます。例えば、「未来的な都市景観、サイバーパンク風」ではなく、「光る高層ビル群、ネオン、霧、未来的」といったように、具体的な作品名やスタイル名を避け、要素を分解して記述します。
ネガティブプロンプトの活用
「–no」パラメータを使って、特定の要素を除外することも有効です。例えば、「–no character, logo」と指定することで、キャラクターやロゴが出現する確率を下げられます。また、特定のアーティスト名を除外したい場合は、「–no [アーティスト名]」と指定することも可能ですが、効果の程度は状況によって異なります。
スタイルの混合とカオスパラメータ
複数のスタイルを混ぜたり、「–chaos」パラメータで出力の多様性を高めたりすることで、特定の作品に偏らない結果を得やすくなります。例えば、「印象派とアールデコの融合」といった指示や、「–chaos 80」などの高いカオス値を設定することで、予想外の独創的なビジュアルが生まれる可能性があります。
バリエーションとリミックス機能の活用
Midjourneyの「Vary (Region)」や「Remix」機能を使うと、生成された画像の一部を変更したり、プロンプトを微調整しながら再生成したりできます。類似性が気になる部分だけを修正することで、全体の構図を保ちつつ問題を解消できる場合があります。
使わない判断が必要なケース
商用利用の際の慎重な判断
生成した画像を商用目的で使用する場合、類似性のリスクはより深刻になります。特に、商品パッケージや広告、販売するデジタルコンテンツなどに使用すると、著作権侵害で訴訟に発展する可能性もゼロではありません。2025年のディズニーとユニバーサルによる訴訟でも、Midjourneyが「底なしの盗作の穴」と非難され、意図的な著作権侵害が争点となっています。このような状況を踏まえると、商用利用の際は、著作権に詳しい弁護士に相談するなど、より慎重な対応が求められます。
公序良俗に反する可能性がある場合
生成された画像が、特定の人物や団体を誹謗中傷する内容を含んでいたり、差別的な表現に該当したりする場合も、公開を控えるべきです。また、Midjourneyの利用規約では、嫌がらせや虐待的なコンテンツの生成が禁止されています。利用規約に違反すると、アカウント停止などの措置を受ける可能性があります。
類似性が高いと感じた場合の自己検閲
公開前に「これは似すぎているかも」と少しでも感じたら、公開を見送るか、大幅に修正することをおすすめします。特に、SNSで拡散されると、思いがけない形で著作権者やファンから指摘を受けることがあります。後々のトラブルを避けるためにも、慎重な自己判断が重要です。
Midjourneyの公式見解と利用条件の確認
著作権に関する公式の立場
Midjourneyは、生成された画像の著作権はユーザーに帰属するという立場をとっていますが、同時に、ユーザーが第三者の権利を侵害しないことを利用条件で求めています。公式ドキュメントでは、著作権侵害のリスクについて明示的に言及されており、ユーザー自身が責任を持って使用する必要があるとされています。
利用条件の要点
Midjourneyの利用条件には、以下のような規定が含まれています(2025年6月時点の確認に基づく概要です。最新の条件は必ず公式ページでご確認ください)。
- ユーザーは、生成した画像が第三者の知的財産権を侵害しないことを保証する責任を負う。
- 有料プランのユーザーは、生成した画像を商用利用できるが、著作権侵害のリスクはユーザーが負う。
- 無料プランで生成した画像の商用利用は制限がある。
- Midjourneyは、生成された画像が既存の著作物と類似している場合でも、一切の責任を負わない。
これらの条件からも、最終的な判断と責任はユーザー自身にあることがわかります。
炎上事例から学ぶリスク管理
ディズニー・ユニバーサル訴訟の示唆
2025年6月に提起された訴訟では、Midjourneyがダース・ベイダーやヨーダ、バズ・ライトイヤーといった有名キャラクターを容易に生成できることが問題視されました。訴状によれば、Midjourneyは著作権者からの警告を無視し、意図的に侵害を続けたとされています。この訴訟の行方はまだ不透明ですが、少なくとも、有名キャラクターを意図的に生成する行為がハイリスクであることは明らかです。
V6リリース時のユーザー報告
2023年のV6αテスト時には、特定のプロンプトで映画のワンシーンとほぼ同一の画像が生成されたという報告が相次ぎました。中には、その画像をSNSに投稿したユーザーがアカウント停止になったケースもありました。この事例は、意図せずとも類似性の高い出力が得られる可能性と、それに対するMidjourneyの対応の厳しさを示しています。
コミュニティでの議論
RedditのMidjourneyコミュニティでは、自分の生成した画像が不適切としてフラグ付けされたり、アカウント停止になったりした経験が共有されています。中には、「/describe」コマンドでアップロードした画像が著作権侵害と判定されたという報告もあり、Midjourneyの自動検出システムの限界や、ユーザー側の困惑が浮き彫りになっています。
安全に使い続けるための心構えとチェックリスト
日常的に意識すべきポイント
- プロンプトに固有名詞(キャラクター名、作品名、アーティスト名)を入れない。
- 生成後は必ず類似性をチェックする習慣をつける。
- 商用利用の場合は、必ず専門家に相談する。
- Midjourneyの利用条件や公式アナウンスを定期的に確認する。
公開前のセルフチェックリスト
以下は、生成した画像を公開する前に確認すべき項目の一例です。
| チェック項目 | 確認内容 |
|————–|———-|
| キャラクターの類似 | 既存のキャラクターに酷似していないか |
| ロゴ・商標の有無 | ブランドロゴや商標が含まれていないか |
| 実在人物との類似 | 有名人や一般人の顔に似ていないか |
| 構図・配色の類似 | 有名な作品の構図や配色と酷似していないか |
| 逆画像検索の結果 | 類似画像が多数ヒットしないか |
| 利用規約の遵守 | 最新の利用条件に反していないか |
このチェックリストを参考に、一つでも引っかかる項目があれば、公開を再検討するか、修正を加えるようにしましょう。
類似性に関するよくある疑問と回答
Midjourneyで生成した画像の著作権は誰にありますか?
Midjourneyの利用条件によれば、有料プランで生成した画像の著作権はユーザーに帰属します。ただし、生成された画像が既存の著作物と類似している場合、著作権侵害のリスクはユーザーが負うことになります。無料プランの場合は、商用利用に制限があるため、利用条件をよく確認してください。
既存のキャラクターに似た画像を個人のSNSに投稿しても大丈夫ですか?
個人のSNSであっても、著作権侵害にあたる可能性があります。特に、有名なキャラクターを想起させる画像を無断で公開することは、著作権者の権利を侵害する行為とみなされることがあります。非商用であってもリスクはあるため、類似性が高いと感じた場合は投稿を控えるのが無難です。
プロンプトにアーティスト名を含めなければ安全ですか?
アーティスト名を除外することは類似リスクを下げる一つの方法ですが、それだけで完全に安全とは言えません。画風や構図、色彩などの組み合わせによって、結果的に特定の作品を想起させる出力が得られることもあるため、総合的な判断が必要です。
Midjourneyが自動で著作権侵害を検出してくれますか?
Midjourneyには不適切なコンテンツを検出する自動システムがありますが、完璧ではありません。実際に、ユーザーが生成した画像が著作権侵害としてフラグ付けされる一方で、明らかに類似した画像が検出されないケースも報告されています。最終的な判断はユーザー自身が行う必要があります。
類似性を避けるためのプロンプトのコツはありますか?
抽象的な表現を心がけ、具体的な作品名やキャラクター名を避けることが基本です。また、「–no」パラメータで特定の要素を除外したり、「–chaos」パラメータで多様性を高めたりすることで、オリジナル性の高い出力を得やすくなります。さらに、複数のスタイルを混合するのも効果的です。
商用利用する場合、どのような点に注意すればよいですか?
商用利用の場合は、特に慎重な判断が求められます。生成した画像が既存の著作物と類似していないか徹底的に確認し、必要であれば著作権に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。また、Midjourneyの利用条件で商用利用が許可されているプランに加入しているかも確認してください。
まとめ:不安を解消し、創造的に活用するために
Midjourneyは、アイデアを瞬時にビジュアル化できる強力なツールですが、その利便性の裏には、既存の著作物との類似性というリスクが潜んでいます。重要なのは、このリスクを正しく理解し、適切な対策を講じることです。
プロンプトの工夫や参照素材の適切な選択、生成後の類似性チェックを習慣化することで、多くのトラブルは未然に防げます。そして、少しでも不安を感じたときは、公開を控えるという慎重さが、長期的に見て安全な活用につながります。
技術の進化と法整備の過渡期にある今、ユーザー一人ひとりが責任ある行動をとることが、生成AIとクリエイティブの健全な共存を実現する第一歩となるでしょう。この記事が、Midjourneyを安心して使い続けるための一助となれば幸いです。

コメント